福岡高等裁判所 昭和24年(つ)806号 判決 1950年2月25日
被告人
徐輪洪
主文
原判決を破棄する。
被告人を懲役弐年に処する。
押收にかかる押檢第一号(牛蹂革百三十三枚)同第二号(靴底革五百三十八枚)同第三号(帶革五百三本)双洋丸並びに附属品一式(別紙目録記載の通り)は之を沒收する。
訴訟費用は全部被告人の負担とする。
理由
前略
弁護人松岡良俊の控訴趣意について、
告発書は訴訟法上所謂報告文書であつて、これを犯罪事実認定の証拠とすることは、たとえ当事者の同意があつても、許されないものと解すべきであろう。只本件のような事案は税関官吏の告発が訴訟條件となつているのであるから、原審に於て檢察官はこの告発のなされたことを告発書によつて立証したものであつて、原審裁判官はこの事を表示する心算で判決に該告発書を引用したのかも知れないが、この訴訟條件充足の事実はこれを判決に証拠によつて示す必要のないものであるから、結局右告発書をも判示犯罪事実認定の証拠としたものと解するの外はない。從つて原判決は採証の法則に反した違法あることとなり論旨はこの点において理由あるに帰する。